インドの国家プロジェクトとなったサジー

インド政府は、サジーへの高い評価から、2010年に大規模な国家プロジェクトを始動させています。

その様な影響もあり、インド国内でのサジーの産業価値は、年々高まっているのです。

国家プロジェクト“サジーの植林”

2010年7月14日、インド政府管轄の環境森林省(MoEE)・国防研究開発機構(DRDO)が、サジーの大規模な植林プロジェクトを始動させました。※1

そのプロジェクトは2020年をめどに、 寒冷地体であるヒマラヤ地帯で、サジーを100万ヘクタール(東京ドーム約21万個分)を植林するというものです。

インド政府は、サジーが環境保護・健康保護・ヒマラヤ諸国の経済を安定させ、 産業を発展させる証明があるとし、次のように宣言しています。

インド政府は、健康と貧困緩和のために、地球温暖化、インドのヒマラヤ地域の高地地域の環境保全に対して、サジーの可能性を認める。

国境地域に隣接するヒマラヤ地域において、環境森林省の耕作が不可能な土地での植林と栽培の優先種として、サジーを宣言する。

インド政府 プレス情報局より引用

サジーが与える影響

環境保全

サジーが植林されたヒマラヤ地域には、アジアで最も高地にある村なども含まれており、厳しい寒さとなっています。

寒冷砂漠が陸地の4割を占めるなど、植物が育つような環境ではありません。

しかし、サジーはそのような環境でも育つことができる、強い生命力を持っています。

そのためサジーは、砂漠化防止や土壌保全に対して有用と言える貴重な植物なのです。

サジーで砂漠化を防ごうとする動きは、インドだけでなく、内モンゴルなど世界で広がりを見せています。

サジーと砂漠化について詳しく見る

産業

標高3,524m インド最北部の都市 レー

サジーの植林地域には、標高が3500メートルを超える地域もあります。

このような場所では産業が発展しにくく、地域の所得はなかなか増えませんでした。

しかし、医学的価値が判明したサジーの植林プロジェクトによって、植林地域の産業が潤うようになったのです。

国家プロジェクトでは、植林地域の農民や若者、女性が参加し、サジーの収穫や製品設計、包装の技術などのトレーニングも行われています。

さらに、インド政府の国防高等研究所は、サジーを栄養飲料へ調整する技術を開発し、特許も取得しました。※2

研究とともに高まる価値

インド政府は、サジーの商品価値をより高めるため、サジーの効果の研究と並行して安全性の裏付けを進めています。

サジーの安全性について詳しく見る

それらの研究で、サジーの安全性の高さは証明されてきました。

しかし、効果に関して解明されてきた部分もありますが、まだ引き続き研究が必要な部分もあります。

とはいえ、インドでのサジーの市場価値は、2017年時点で2001年の6倍以上にまで跳ね上がっています。※3

世界的に見ても、サジーの需要は高まっており、サジーはまだまだ大きな可能性を秘めている植物だといえるのです。

※1 Ministry of Environment, Forest and Climate Change(2010)/Leh Initiative on Seabuckthorn/Release ID :63240.

※2 S.K. Dwivedi & Z. Ahmed(2008)/SEABUCKTHORN (HIPPOPHAE SP.) – A POTENTIAL UNDERUTILIZED FRUIT PLANT FOR COLD ARID INDIA/ActaHortic/769/43.

※3 Mohit Husain & Jagdeesh Prasad Rathore & Aatifa Rasool & Aafaq A Parrey(2018)/Seabuckthorn: A multipurpose shrubs species in Ladakh cold desert./JOURNAL OF ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY STUDIES/06/1194.

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