『アトピー性皮膚炎のモデルマウスにサジーオイルを塗布したところ、皮膚炎に関する検査値が改善された』という研究結果が発表されています。
2,4-ジニトロクロロベンゼン(DNCB)誘発アトピー性皮膚炎モデルマウスに対するシーバックソーンオイルのTh1/Th2バランス調整による改善効果
アトピー性皮膚炎(AD)は、世界的な慢性皮膚疾患です。本研究では、BALB/cマウスに2,4-ジニトロクロロベンゼン(DNCB)を繰り返し投与することで誘発されるアトピー性皮膚炎マウスモデルに対するシーバックソーン(サジー)オイルの効果を評価しました。
方法
マウスを以下の4群に分け、③および④のサジーオイル群には、濃度の異なる同量のサジーオイルを、15日間毎日塗布しました。
①正常対照群
②ADモデル群
③サジーオイル(5ml/kg)を投与したADモデル群
④サジーオイル(10ml/kg)を投与したADモデル群
その後、皮膚バリアの機能とIL-4、IFN-γ、TNF-α、TSLPの産生について調べました。
さらに、リンパ節におけるランゲルハンス細胞の移動と成熟についてフローサイトメトリーで評価しました。
結果
図2 DNCBで誘発されたADモデルの皮膚に対するサジーオイルの効果(抜粋)
B マウスの耳の厚さ C 皮膚炎のスコア(皮膚炎のスコアは、様々なAD症状に応じたスコアの合計)
P < 0.01, # P < 0.05vs.正常対照群; ** P < 0.01, * P < 0.05vs.ADモデル群
サジーオイルは、皮膚炎の特徴である耳の肥厚や肥満細胞の浸潤を改善させました。また、リンパ節重量の減少や、Th2細胞活性の低下など、皮膚炎のスコアが低下しました。
サジーオイルは、耳の組織におけるIL-4、IFN-γ、TNF-α、TSLPの発現、血清中のIgEレベル、リンパ節におけるIL-4、IFN-γ、TNF-αのmRNA相対発現を低下させました。
さらに、サジーオイルは、局所病変からリンパ節へのランゲルハンス細胞の移動を抑制し、リンパ節での成熟を阻害しました。
これらの結果から、サジーオイルは、Th1/Th2のバランスを維持することにより、DNCB誘発ADマウスに対して全身的または局所的に有益な効果を持つことが示唆されました。
<参考文献>